まだ令和4年の税制改正に基づいた申告がこれからというお客様が大多数ですが、実は毎年各省庁から8月末に各省庁から来年度の税制改正要望というものが公表されております。
総務省|税制改正|令和5年度 税制改正要望 (soumu.go.jp)
 
現状ではあくまでも税制改正の要望段階ですが、今後は12月半ばに税制改正大綱となり、令和5年4月に法律となり施行される予定です。

過去の税制改正の流れからは、改正要望の多くが法律になっています。
したがって、これらを詳しく読めば、来年度の税制改正の動きが予想できます。
税目別の主な要望事項は以下となっています。

■ 法人税
(1)中小企業の法人税率の特例の延長
   中小企業(資本金1億円以下、以下同じ)について所得800万円以下が15% ※ の税率を令和7年3月末に開始する期まで2年延長。
   ※ 本来19%、中小企業以外は23.2%

(2)中小企業経営強化税制の見直し及び延長
   中小企業が経営力向上計画に基づき一定の設備を取得した場合、即時償却または税額控除10%の制度を、令和7年3月末の取得まで2年延長。

(3)中小企業投資促進税制の延長
   中小企業が一定の機械等を取得した場合、特別償却30%または税額控除7%の制度を令和7年3月末の取得まで2年延長。

(4)DX投資促進税制の見直し及び延長
   デジタル技術の活用のための設備を購入した場合、特別償却30%または税額控除3%か5%の制度を、認定要件を見直したうえで令和7年3月末の取得まで2年延長。     

■ 所得税
(1)NISAの抜本的拡充
   NISA制度の恒久化、非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大、非課税限度額の拡大など。

(2)空き家の譲渡3千万円控除の拡充と延長
   相続した空き家を譲渡時の3千万円控除について、譲渡「後」に耐震改修や除却工事が行われる場合でも、
   適用対象となるように拡充して令和9年12月31日まで4年延長。

(3)低未利用地の長期譲渡100万円控除の拡充と延長
   低未利用地を譲渡した場合(上限500万円)、譲渡所得から100万円控除の特例を上限800万円に引き上げて令和7年12月31日まで3年延長。     

(4)事業用買換え特例の延長
   10年超所有する事業用資産を譲渡して新たに事業用資産を取得した場合、譲渡資産の譲渡益を80%課税繰延べの特例を令和8年3月31日まで3年延長。

(5)国外転出時課税の株券担保提供の見直し
   海外赴任時に有価証券1億円以上所有の場合、含み益に譲渡所得が課税される制度について株券の担保提供により納税猶予が可能だがその手続・管理コストが発生する。株券によらない担保提供ができるよう見直す。

■ 相続税・贈与税
(1)教育資金の贈与の特例の拡充と延長
   非課税上限額1千5百万円を2千万円まで引き上げ1千5百万円を超える分の贈与額についてはその5%以上を学校法人等への別途寄附を条件に適用。令和7年3月31日までの2年延長。

■ その他
(1)土地移転時における登録免許税減税の延長
   土地の所有権移転時の登録免許税について所有権移転登記2%を1.5%に、信託登記0.4%を0.3%に各減税を令和7年3月31日までの2年延長。

以上の改正要望事項についてはこれから順次検討がされて、12月半ばに税制改正大綱となる予定です。

改正前に対応しなければというケースもございますので順次お知らせしてまいりたいと思います。