はじめに

2025年も残りわずかとなりました。年末年始は税務上も重要な時期であり、年末調整の最終確認、来年の確定申告準備、そして2026年度の税制改正への対応と、やるべきことが目白押しです。本記事では、年末年始の重要スケジュールと、確定している令和7年分の改正内容、そして令和8年度税制改正の動向をわかりやすく解説します。

年末年始の税務スケジュール

年末調整の最終段階(12月下旬)

現在、多くの企業で令和7年分の年末調整の最終作業が進んでいます。今年は「103万円の壁」が実質160万円に引き上げられた最初の年であり、基礎控除や給与所得控除の改正が適用されています。計算方法が変わっていますので、慎重な確認が必要です。

押さえておくべき重要期限

  • 2026年1月10日:源泉所得税の納付期限
  • 2026年1月31日:法定調書・給与支払報告書の提出期限

年末年始の休業期間を考慮し、早めの準備を心がけてください。

年内に済ませておきたいこと

  • 経費精算の完了と領収書整理
  • ふるさと納税の駆け込み検討(12月31日まで)
  • 医療費控除のための領収書整理
  • 各種控除証明書の確認

令和7年分(2025年分)の税制改正-確定している内容

【個人所得税】「103万円の壁」が160万円に

基礎控除の引き上げ(確定済み)

  • 従来:48万円
  • 令和7年分から:58万円(合計所得金額2,350万円以下の場合)
  • さらに「基礎控除の特例」により、合計所得金額132万円以下の方は最大95万円まで控除

給与所得控除の引き上げ(確定済み)

  • 最低保障額:55万円→65万円

実質的な影響 これにより、いわゆる「年収の壁」は103万円から実質160万円に引き上げられました。パート・アルバイトで働く方の税負担が大きく軽減されています。

【扶養控除】特定親族特別控除の新設

19歳から22歳の扶養親族(主に大学生世代)を対象とした特別控除が創設されました。これは令和7年・8年の2年間の時限措置です。

令和8年度(2026年度)税制改正の動向

令和8年度税制改正大綱は2025年12月中旬に公表予定です。現時点での報道や検討状況をご紹介します。

【個人所得税】「年収の壁」のさらなる引き上げを検討中

物価連動による控除額の調整(検討中) 2025年12月11日の報道によると、政府・与党は物価上昇に連動して控除額をさらに引き上げる方向で調整を進めています。

  • 基礎控除:58万円→62万円程度への引き上げを検討
  • 給与所得控除:最低保障額65万円→69万円程度への引き上げを検討
  • 実質的な「年収の壁」:168万円程度になる見込み

今後の見直しルール(検討中) 2年に1度、消費者物価指数の上昇率を基に控除額を引き上げる仕組みが検討されています。

※これらは検討段階の情報であり、正式決定は12月中旬の税制改正大綱公表後となります。

【住宅・資産税制】各種制度の見直し検討

住宅ローン減税 子育て世帯への支援継続について検討が進められています。

NISA制度 18歳未満へのNISA解禁など、制度の拡充が議論されています。

【法人税制】賃上げ促進税制の見直し

企業規模別の終了時期を検討

  • 大企業:2025年度末での終了を検討
  • 中堅企業:2026年度末での終了を検討
  • 中小企業:引き続き支援継続の方向

中小企業支援の継続 中小企業経営強化税制など、中小企業の成長を後押しする税制は引き続き延長される見込みです。

令和7年分(2025年分)確定申告の準備を始めましょう

確定申告の期間

  • 所得税・復興特別所得税:2026年2月16日(月)〜3月16日(月)
  • 個人事業者の消費税:2026年3月31日(火)まで

e-Taxを利用すれば1月中旬から申告が可能です。早期提出により還付金も早く受け取れます。

今から準備しておくべきこと

  • 医療費関連:2025年1月〜12月分の医療費領収書や明細を整理
  • 各種控除証明書:生命保険料、地震保険料などの控除証明書の保管確認
  • 住宅ローン控除:2年目以降の方も年末残高証明書が必要です
  • ふるさと納税:2025年分の寄附金受領証明書の確認
  • 副業収入:雑所得の記録整理

令和7年分の重要ポイント

新しい控除額の適用

令和7年分から基礎控除58万円(特例により最大95万円)、給与所得控除最低保障額65万円が適用されます。確定申告書の様式や計算方法が変わっていますので、注意が必要です。

特定親族特別控除

19歳〜22歳の扶養親族がいる場合、特定親族特別控除(時限措置)の適用を忘れずに申請しましょう。

インボイス制度3年目

消費税の課税事業者となった方は、適格請求書の保存と消費税申告の準備を確実に行いましょう。

当事務所からのお知らせ

年末年始の営業について

年末年始の休業期間および新年の営業開始日については、別途ご案内させていただきます。緊急のご相談がある場合は、年内にお早めにご連絡ください。

確定申告サポートのご案内

確定申告期間は大変混雑いたします。令和7年分は控除額の改正により計算方法が変わる部分がありますので、早めのご相談をお勧めいたします。1月中からの早期準備サポートをご利用いただけますので、ご希望の方は年内にご予約をお願いいたします。

おわりに

本年も格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

令和7年分は「103万円の壁」が160万円に引き上げられた重要な年であり、多くの方の税負担が軽減されています。また、令和8年度税制改正では、さらなる控除額の引き上げが検討されており、12月中旬に公表される税制改正大綱の内容に注目が集まっています。

私たち税理士法人は、最新の税制改正情報をいち早く把握し、お客様の税務負担の軽減と事業発展のサポートに全力で取り組んでまいります。税制改正大綱が公表され次第、詳細な情報を改めてお知らせいたします。

年末年始の慌ただしい時期ですが、今のうちから準備を進めることで、余裕を持って新年を迎えることができます。ご不明な点やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

来年も変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。