今年の日本シリーズは阪神タイガースとオリックスバファローズの「関西対決」で大いに盛り上がりました。阪神タイガースが38年ぶりに日本一の栄冠をつかみ、岡田監督の采配にも注目が集まりました。
「なぜ阪神が強くなったのか」、その理由の一つに「四球の多さ」があると言われております。

 今季の両リーグ断トツの四球数は、確かな得点源にもなっています。ランナーが出なければベンチは何も動けません。四球を含めた出塁率を高めることが、得点につながっていったのです。
2023年のチーム打率は2割4分7厘でリーグ2位ですが、12球団最多494という四球を生かして得点につなげています。

 岡田監督は「これまでボール球を振っての凡打が多かったんでね」と発言された上で、「開幕の前の日に球団に言うたんですよ。フォアボールの(査定)ポイントをちょっと上げてくれと。了解を得てね。前日のミーティングで選手に(四球の査定ポイントが上がったことを)言うたんですよ」とインタビューで答えておられました。

 プロ野球選手の年俸は、一試合、一試合の「走攻守」のすべてをポイント化して査定し、その合計ポイント数をもとに来季の年俸が決まるようです。項目によってポイントの基本数が異なり、シングルヒットよりも二塁打、三塁打、本塁打のほうが高く、タイムリーヒットとなると、打点のポイントが加算されます。
 四球にも基本のポイント数が設定されているそうですが、その四球の査定ポイント評価をアップすることを岡田監督が球団に掛け合って、フロントの了承を取り付け、開幕戦の前日のミーティングで選手に伝えたそうです。
 プロ野球選手は個人事業主ですので、ただ「ボールを振るな、四球を選べ」と指示するよりも、それが給料に跳ね返ってくるとなると説得力が違ってきます。もちろん、選手たちは査定アップを意識してプレーしているわけではありませんが、モチベーションアップにつながることは確かです。また結果的に四球を選ぶことによって、チームの得点や相手に与える影響は大きくなり、勝利につながっていきました。
 組織において査定ポイントとそれをいかに社員に示せるかの重要性を改めて感じるお話でした。