賃上げ税制(賃上げ促進税制)は、従業員の給与引き上げを支援する制度です。所得拡大税制に代わる税制で、令和4年度の税制改正では、賃上げ税制のさらなる見直しが盛り込まれました。これにより、中小企業においては、給与支給増加額などに対して最大25%の税額控除だったものが、最大40%に引き上げられます。
 賃上げ税制は令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度となるほか、賃上げ税制は教育訓練費も要件に加わり、内容が拡充されています。

【令和4年度税制改正で中業企業の控除率が最大40%に】

(中小企業)

(これまで)
基本・・・雇用者全体の給与等支給額 前年比1.5%以上増額 → 15%控除

上乗せ・・雇用者全体の給与等支給額 前年比2.5%以上増額             ※最大控除率25%
     教育訓練費 前年比10%以上増加         → 10%控除

     ↓     ↓     ↓       ↓

(今後)
基本・・・雇用者全体の給与等支給額 前年比1.5%以上増額 → 15%控除

上乗せ・・雇用者全体の給与等支給額 前年比2.5%以上増額 → 15%控除      ※最大控除率40% 
     教育訓練費 前年比10%以上増加         → 10%控除

中小企業においては、上乗せ要件について緩和が行われ、雇用者全体の給与等支給額前年比2.5%以上と教育訓練費の両方の要件を満たさないと加算されなかったものが、それぞれ個別に加算されるようになりました。これにより、控除率最大40%と大幅な控除が認められるようになります。

【税制控除のための賃上げは慎重に検討しましょう!】

 賃上げ税制の要件を満たせば、雇用者全体の給与等支給額の増加分について、15%から最大40%(大企業は最大30%)の税額控除を受けられます。賃上げの負担軽減につながることから、賃上げを検討している企業にとってはメリットのある制度です。
 しかし、税額控除のためには賃上げをともなうことから、収益性や資金繰りに不安のある企業が取り入れると、税額控除よりも、賃上げによるコストで経営が圧迫する恐れがあります。
 税額控除ができる点は大きいですが、企業の中長期的な活動や資金繰りにも注意して、導入は慎重に検討することをおすすめします。詳しくは担当者までご相談くださいませ。