2025年11月19日
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税務・会計のこと
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【2025年版】12月決算前の節税対策ラストチャンス!今からできる3つの実務ポイント
年末まで残り約1ヶ月。12月決算を控えた企業にとって、11月下旬は節税対策の最後のチャンスです。「今年はもう手遅れ」と諦める前に、まだ間に合う効果的な節税手法があります。
本記事では、決算前経費の最終確認、不良在庫の適切な処分、翌期への戦略的準備という3つの実務ポイントに絞って、今からでも実行可能な節税対策をご紹介します。適切に実施することで、数十万円から数百万円の節税効果が期待できる内容となっています。
1決算前経費の最終確認【最重要項目】
決算前の経費計上は、最も確実で効果の高い節税対策です。しかし、多くの企業で計上漏れが発生しているのが現実です。
📋 計上漏れしやすい経費TOP5
- 消耗品費:事務用品、清掃用品、工具類の年内購入
- 修繕費:設備メンテナンス、建物修理の前倒し実施
- 研修費:社員教育、資格取得支援、セミナー参加費
- 広告宣伝費:ウェブサイト制作、パンフレット印刷、看板設置
- 福利厚生費:忘年会費用、健康診断費、社員旅行積立
⚡ 年内発注・年内納品の重要性
税務上、経費として認められるためには「年内に債務が確定していること」が原則です。つまり:
- ✅ 商品・サービスの発注済み
- ✅ 納品・役務提供が完了済み
- ✅ 支払金額が確定済み
💡 未払金として計上できる経費の活用
年内に支払いが完了していなくても、以下の条件を満たせば未払金として経費計上が可能です:
- 水道光熱費:12月分の電気・ガス・水道料(検針済み)
- 通信費:12月分の電話・インターネット料金
- 賃借料:事務所・駐車場の12月分家賃
- 給与・賞与:12月分給与、決算賞与(支給決定済み)
⚠️ 税務調査で指摘されやすいポイント
- 過大な期末購入:通常使用量を大幅に超える消耗品の購入
- 私的使用の混在:業務用と個人用の区分が不明確な支出
- 翌期サービス:実際には翌期に提供される役務の前払い
- 証拠書類不備:請求書、納品書、契約書の整備不足
対策:通常の事業運営の範囲内で、必要性が明確に説明できる支出に留めることが重要です。
2不良在庫の処分と評価損
📊 不良在庫が税金を増やしている理由
在庫は資産として計上されるため、不良在庫を抱えていると利益を圧迫し、結果的に税金が増加します。適切な処分により、評価損として経費計上することで節税効果が期待できます。
✅ 評価損として認められる条件
税務上、以下のケースで在庫の評価損が認められます:
- 陳腐化:技術進歩により商品価値が著しく低下
- 型落ち・季節外れ:流行遅れ、季節商品の売れ残り
- 品質劣化:長期保管による品質低下、賞味期限切れ
- 損傷・汚損:運搬・保管中の物理的損傷
- 市場価格下落:相場変動による著しい価値下落
📋 処分のタイミングと証拠書類
年内処分が原則ですが、以下の証拠書類を適切に整備することが重要です:
- 廃棄証明書:廃棄業者発行の処分証明書
- 写真記録:処分前の在庫状況、損傷状況
- 処分決定書:社内での処分決定プロセスの記録
- 売却記録:値引き販売の場合の取引記録
🔍 不良在庫処分の実務チェックリスト
- □ 1年以上動きのない在庫の洗い出し完了
- □ 在庫の状態確認と評価損事由の特定完了
- □ 処分方法の決定(廃棄/格安売却/寄付)
- □ 処分業者との契約締結・処分実施
- □ 必要な証拠書類の収集・整理完了
- □ 在庫管理システムでの除却処理完了
3翌期への戦略的準備
🎯 来期の経営を見据えた年内準備
単発的な節税対策ではなく、翌期の事業成長と連動した戦略的な投資を年内に実施することで、節税と経営強化の両立が可能です。
💰 設備投資と税制優遇の活用
中小企業投資促進税制の活用
- 対象設備:機械装置(160万円以上)、ソフトウェア(70万円以上)等
- 優遇内容:取得価額の7%税額控除 または 30%特別償却
- 期限:2025年3月31日まで(年内取得・事業供用が条件)
少額減価償却資産の特例
- 対象:取得価額30万円未満の減価償却資産
- メリット:全額即時償却可能(年間300万円まで)
- 活用例:PC、プリンター、ソフトウェア、小型機械等
👥 人材投資による節税対策
決算賞与の検討
以下の要件を満たせば、未払いでも経費計上可能です:
- 全従業員に対する支給額を年内に通知
- 通知した全従業員に翌期開始から1ヶ月以内に支給
- 当期中に未払金として経理処理
退職金制度・生命保険の活用
- 小規模企業共済:年額84万円まで全額所得控除
- 企業型確定拠出年金:掛金全額損金算入
- 養老保険:保険料の1/2を福利厚生費として処理
⚖️ 資金繰りと節税のバランス
節税効果と資金繰りへの影響を慎重に検討することが重要です。翌期の売上計画、設備投資計画、借入返済予定を踏まえて、適切な節税水準を設定しましょう。
💡 節税判断の基本原則
- 事業の本質を損なわない:不要な支出は避ける
- 将来性を考慮する:翌期以降の収益性向上につながる投資を優先
- 資金繰りを最優先:支払能力を超えた節税は避ける
- 税務リスクを最小化:適法性・合理性を重視
📋 まとめ:今すぐ始めるべきアクションプラン
年内の節税対策成功のため、以下の優先順位で取り組んでください:
🔥 緊急度:高(11月中旬~下旬)
- □ 計上漏れ経費の洗い出しと発注手続き
- □ 不良在庫の評価・処分方針決定
- □ 30万円未満設備の購入検討・発注
⚡ 緊急度:中(12月上旬~中旬)
- □ 決算賞与の支給額決定・通知
- □ 大型設備投資の最終判断・契約
- □ 保険・共済制度への加入検討
📊 確認・整備事項(12月下旬)
- □ 経費計上の証拠書類整備
- □ 在庫処分の完了確認・記録整理
- □ 翌期資金繰り計画の最終調整