「経理の締め作業に毎月追われている」「見積作成に時間がかかる」「人手不足でレジ対応が回らない」——そんな課題を、AIやITツールの導入で解決したいとお考えの中小企業・小規模事業者の皆さまに、心強い制度があります。従来の「IT導入補助金」から進化した『デジタル化・AI導入補助金』です。
この補助金は、AIを含むITツールの導入を支援する制度です。ただし、ツールの選定や申請にはいくつかの要件があり、事前準備がカギを握ります。本記事では、認定経営革新等支援機関の立場から、制度の全体像と申請準備のポイントをわかりやすく解説します。
第1章|まず押さえたい「申請要件」
■ 申請対象
対象は中小企業・小規模事業者等で、業種ごとに「資本金」または「従業員規模」の基準が定められています(個人事業も含みます)。たとえば、製造業は資本金3億円/従業員300人、卸売業は1億円/100人、小売業は5,000万円/50人などが目安です。
■ 申請前に必須の手続き
申請の前に、次の2つの準備が必要です。いずれも取得・発行に日数がかかるため、早めに着手しておきましょう。
- GビズIDプライムの取得:発行の目安はおおむね2週間
- SECURITY ACTIONの宣言:★一つ星または★★二つ星を宣言(ID発行の目安はおおむね2〜3日)
■ ツール・申請の基本ルール
補助の対象となるのは、事務局の審査を経て登録・公開されたITツールに限られます。また、(複数者連携枠を除き)申請はIT導入支援事業者と連携して進める仕組みです。
第2章|自社に合う「枠」を選ぶ
補助率や詳細は公式サイトで確認が必要ですが、主な枠は次のとおりです。
- 通常枠:自社の業務に合ったITツールを導入したい方向け(補助額 5万円〜450万円)
- インボイス枠(インボイス対応類型):インボイス対応の会計・受発注・決済ソフトを導入したい方向け(補助額 〜350万円。ソフトと合わせればPC・レジ等も対象)
- インボイス枠(電子取引類型):取引先にも受発注ソフトのアカウントを無償提供する方向け(補助額 〜350万円)
- セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃などのリスク対策をしたい方向け(補助額 5万円〜150万円。対象は「お助け隊サービスリスト」掲載の登録サービスに限る)
第3章|加点項目とAI活用のイメージ
■ 主な加点項目
加点対象は枠によって異なりますが、公式に示されている主な例は次のとおりです。
- クラウド製品/インボイス対応製品の選定(通常枠)
- 賃上げの事業計画(3年)の策定・従業員への表明・計画達成
- IT戦略ナビwithの事前実施(結果画面の添付)
- 健康経営優良法人2026/くるみん・えるぼし等の認定
- 成長加速マッチングサービスへの会員登録・課題登録
■ AI活用のイメージ
- 経理:クラウド会計ソフトの導入で、取引データから仕訳を自動作成。入力・確認の手間を減らし、月次の締め作業を早めたい企業に向いています。
- 営業:営業支援システムの導入で、見積作成をAIで効率化。提案スピードを上げたい、顧客との共有をスムーズにしたい場合に効果が期待できます。
- 店舗:セルフレジの導入で、レジの省人化に加え、会計ミスの削減や客単価の向上といった改善につなげられます。
第4章|申請の流れ(7ステップ)
- 制度・公募要領の確認
- GビズIDプライムの取得/SECURITY ACTIONの宣言
- 支援事業者・ITツールの選定
- 交付申請(招待→入力・添付→提出)
- 交付決定後に発注・契約・支払い(※交付決定前は補助対象外)
- 実績報告→補助金交付
- 効果報告(期限内に提出。未報告等は返還等の扱いになる場合あり)
特に注意したいのは、⑤の「交付決定後に発注・契約・支払い」という順序です。 交付決定を受ける前に発注・契約・支払いを行った経費は、補助の対象外となる可能性があります。
まとめ・ご相談案内
デジタル化・AI導入補助金は、経理・営業・店舗など、さまざまな業務の効率化にAIやITツールを活用できる制度です。一方で、申請にはGビズIDやSECURITY ACTIONの準備が必要で、ツール選定や加点対策も採否を左右します。だからこそ、早めに要件を確認し、ツール選定と準備を進めることが大切です。
「自社が対象になるか知りたい」「どの枠・どのツールが合うかわからない」「加点を取りに行きたい」——そんな方は、ぜひお早めに私どもへご相談ください。認定経営革新等支援機関として、各種補助金申請の支援はもちろん、経営改善計画書の作成、優遇金利での資金調達、創業支援まで幅広くサポートいたします。